業界再編の波が路線会社に波及する。
大手が合併する。資本提携などは余り興味がない。
メディアに静かに業界紙に静かに掲載される記事に意味がある。
特別積合せ貨物運送とは
特別積合せ貨物運送(とくべつつみあわせかもつうんそう)は自動車を用いた貨物運送の一形態で、地域ごとに仕分けを行う拠点を用意し、拠点間を結ぶ定期的な運送便に貨物を積み合わせて運送する方法。貨物自動車運送事業法の第2条6項に規定されており、単に特別積合せあるいは特積みと呼ぶことが多い。身近な例として宅配便が該当するが、料金体系などの差から宅配便を除外する(いわゆる路線便を指す)場合も多い。
厳密に言えば、170サイズ以下の小包を宅配便もしくは宅急便と言う(笑)
だからヤマト運輸も日本郵便も佐川急便も含まれるが、今回は路線会社とする。
会社情報の整理・ソース
会社名 | ジャパン・トランズ・ライン株式会社(JTL) |
所在地 | 東京都江東区東雲1-7-30 第一貨物(株)東京支店内 |
代表者 | [代表取締役社長]加賀信男 |
設立日 | 2012/04/02[H24年] |
法人番号 | 1010801022455 |
メディア各社の報道
トナミホールディングスは16日、第一貨物(山形市、武藤幸規社長)、久留米運送(福岡県久留米市、二又茂明社長)の3社で共同出資し、新たに物流会社を設立すると発表した。運送業界ではドライバーの確保や空きトラックを減らすことが課題となっている。新しい物流会社を使い、3社の荷物を効率的に運ぶ体制を構築する。新会社の社名は「ジャパン・トランズ・ライン」。資本金は6000万円。トナミホールディングスと第一貨物がそれぞれ40%、久留米運送が20%を出資する。本社は東京都内に置く方向で調整中。既に準備会社を設立しており、8月中旬をメドに営業を始める。10数台のトラックを所有、ドライバーを含め20人弱の体制とする。荷物が集中して、一時的に運送能力を上回った場合の荷物の輸送を3社がそれぞれ新会社に委託する。将来的には往路と復路で運ぶ量が異なり、荷台が空に近い状態で走っているような効率の悪い路線の解消を目指す。3社で共通利用できるように新会社が効率が悪い路線を担当することを視野に入れている。これまでもトナミホールディングス傘下のトナミ運輸(富山県高岡市、綿貫勝介社長)は中京エリアを強みとしており、東北に強い第一貨物と九州に強い久留米運送と物流で連携をしてきた。新会社の設立によって連携をさらに深める。
2012/04/16記事です。[トナミ40%・第一貨物40%・久留米20%]
社長さんは、第一貨物の加藤社長。
少なくとも2012年時点では共同配送のオーバー分を合弁会社で対応すると言うスタンスの報道ですね。しかし2018年の別業界紙の記事では、「須藤勅夫」社長と記載があります(笑)2018/04/01付では第一貨物㈱取締役国際事業部長兼上海駐在員事務所長の方です。
3社の関東・関西間の幹線運行の一部を担っているが、このJTL運行部会で協議を続けてきた週末の運行効率化、大阪から関東への共同輸送を実行したもの。トナミ運輸と第一貨物は両社の幹線便で久留米運送の貨物を共同輸送し、幹線運行の効率化を図る。久留米運送は運行を1便減便して輸送コストの圧縮につなげる。3社の週末輸送を対象に、トナミ運輸の自社便が久留米運送の関東向け6トン、第一貨物の自社便が久留米運送の東京、神奈川向け6トンの共同輸送を行う。今後は週末の運行効率化に向け、さらに共同輸送を検討していく方針で、部分的な施設面の共用化や共同配達についても協議を行っている。
2015/06/10の記事。前回から1年経過後のリリース。動きは小さいように見えるが、3社異なる文化の会社が基幹運航便のダイヤを微妙に変えている動きが読み取れます。
同社の須藤勅夫社長は、設立に至った背景について「3社とも良質かつ安定的な幹線輸送力を確保したいという共通課題を抱えていた」と語る。各社とも、幹線の一部を下請け事業者に委託して足りない輸送力を補っていたが、当時からドライバー不足が徐々に顕在化し、「傭車では車両が確保できない場合もあり、輸送品質の面でも課題があった」という。 ただ、単に運行を共同化するだけなら、わざわざ別会社を設立する必要はない。この点について須藤氏は「ただの業務提携の関係だと責任の所在が曖昧になり、いつの間にか立ち消え同然になってしまう。3社が今後も特積事業を維持するには、さらに踏み込んだ枠組みが必要だと判断し合弁会社という形をとった」と指摘する。 JTLは現在、大型トラック12台を保有し、3社が東京~大阪間で行っている幹線運行の一部を担っている。東京から6台、大阪から6台がそれぞれデイリーで運行する形態だ。
運送会社の合弁会社のデメリットを語っています。これは他の参画を検討している同規模以下のシナジーが可能な特積み各社に向けてのプレスリリースでもあるのでしょうね。
このJTLの設立には、公共トラックターミナルの存在が大きく関わっている。「もともと日本自動車ターミナルの施設内で“お隣さん”の関係だったことが大きい。共同運行が効果を上げるには、各社の拠点が近くにあり、同じターミナル内で積み降ろし作業が完結することが重要」と指摘する。JTLの運行形態は、トラック1台につき2社積みが基本。例えば、日本自動車ターミナルの葛西トラックターミナルと足立トラックターミナルからは、トナミ運輸と久留米運送の荷物を積んだ便が運行。また、第一貨物の東京支店(江東区)で荷物を積み込んだ後、日本自動車ターミナルの京浜トラックターミナル内にあるトナミ運輸の拠点でさらに積み込み、大阪に向けて出発する便もある。「各社の拠点が離れていれば、空車で走る距離が長くなり、集荷にも時間がかかってしまう。積む場所が近く、降ろす場所も近いことが共同運行を長く続けられる理由だ」と分析する。
合弁会社を作るだけではシナジーを生めない。また生め続ける継続性が無い点を述べられています。これは我々のコミュにも言えます。大きく魅せる為に見せる為に(笑)図体だけ大きくしてもシナジーが生まれない。そして継続性も無い。その点を述べられているのです。
2016年のJTLモーダルシフトでの共同運行図ですね。
着実にシナジーを得て、利益を確保している様子がうかがえます。
中堅特積みの各社規模
情報ソースの発端として
全国物流ネットワーク協会Website 首都圏の共同配送・共同集配
ここで特積み運送会社を抜粋しますね。後は個々に最新の規模を確認します。
比較するにはHPにてIR掲載されている法人前提です。またHDや事業会社問わず塊として記載します。ざっくりと書きます。詳細は法人ごとのHPでIRの財務データ等を確認ください。
・ロジネットジャパン 617億 H31年3月期
・第一貨物 1133億
・日立物流 7008億
・丸運 518億
・SBS 1415億
・名鉄運輸 1159億
・中越運送 274億
・新潟運輸 545億
・トナミ運輸 1255億
・近物レックス 366億
・エフラインギフ 468億
・西濃運輸 2717億
・姫路合同貨物 138億
・久留米運送 456億
・松岡満 142億
・鈴与 1275億
etc
前後の数字の違いはあるが、名称と規模がざっくりと理解出来ます。
大きい売上高に目が行くが、大きなウネリとはTOP10以下の再編が基準となります。最終的なゴールはTOP10内の再編ですが、兆候とは必ず小さい規模から始まると思っております。後は強みのセグメントごとにシナジーを考え、セグメントで競合同士が組みやすい傾向もあります。TOP10外の規模は、売上高よりも主要セグメント(構成比高い)セグメントごとに区分けを行う方がわかりやすいかもしれませんね。
・ドラックストアー系が強み
・住宅関連
・造船系
いろいろセグメントがあります。
小さな規模の特別積み合わせ運送をナリワイとしている大手を研究対象としたいですね。ここに掲載されている企業は、大手ですよ。
シナジーの先の目的を読む
1日の運行限界は500kmが限界だと述べれています。
これは軽貨物でも同じ。交代休みも含め現実的な労務管理での話だろう。
イレギュラー含め分担制が分業制が進む。進むだけではなく、今の倍のドライバーの確保が必要。
・新たに確保
・所属している組織ごと手に入れる
組織を買うまでも合弁からゆっくり融合する形を選択したと言う話。
だから大手も中堅も新たな人材を管理者側以上の職責を新卒採用する事があってもドライバーの頭数を新卒に頼る事はありません。組織をまるごと買う。もしくは融合する動きが本当の動きとなる。目的は、現状維持のコストでドライバー確保。そして利益を改善した先に少しばかりの待遇改善。これを大手含めて運送会社が10月以降顕著な動きとなるだろう。妄想できますね。
第一貨物さんも「経営管理」メインの統合組織を設置しております。建前として「ディー・ティー・ホールディングスグループは、持株会社である弊社、子会社16社(孫会社含む)、関連会社4社、計21社より構成されております」
会社名 | ディー・ティー・ホールディングス株式会社 |
所在地 | 山形県山形市諏訪町2-1-20 |
代表者 | 武藤幸規 |
設立日 | 2012/10/01[H24年] |
法人番号 | 7010601043423 |
軽貨物業界は無関係なのか?
商業貨物及び特積み貨物は必ず軽貨物業界に影響があります。
特積み各社の麾下に紐付きで存在する軽貨物業者が合弁により軽貨物業者間のダンピングで外注費圧縮が行われます。場合によっては脱落する場合もありますね。
運送会社の再編に影響を最も受ける業界でもあります。また麾下でなくても麾下である一般貨物の運送会社からの二次請けでの軽貨物業者も同じ状況になりえます。
だから中堅特積み各社の動きを観察することも軽貨物業界の動きを知る大事な記事でもありますね。
大きな流れの前段
1.増税
2.取引先の合併・再編
3.系列の合併・再編
色んな大きな山を乗り越えた企業と取引を心がけたいですね。
大会社と取引できたからと言って安心してはいけません。
まだまだ3つの山が取引相手となる大手会社には存在しますからね。
他社との調整で取引終了も可能性としては存在します。
大企業との同じ運輸系の取引を検討される場合は、10月以降で落ち着きたいものですね。また好条件で進めている取引条件も早めに締結することをおすすめしたいですね(笑)気が変わるかも知れませんから(笑)
余談ですが、地味でが渋くて好きな大手さん
個人的な企業の好き嫌いとして、新潟運輸ってすごくないですか?
根拠ないですが、セグメントも地味で広範囲な店所網。北海道の松岡満さん言えばきりがありません(笑)業界専門の誌面でしか目にしませんが、本当の再編の緒を知る為には渋くて、規模はそこそこあるのに業界紙しか名称が踊らない運送会社を注視したいと思う。